多彩な個性が楽しい“心魂”たち ~ 寺尾直之氏個展

ぎゃらりいたねからでは2月5日(火)から2月11日(月)まで、寺尾直之氏の10年ぶりとなる個展「心魂〜kokorodama〜」が開催されています。


作品を通じて心のあり方を問いかけたいと寺尾氏からうかがっていたので、メッセージ性の強いものをイメージしていましたが、想像とは少し違っていました。


荒々しくもごつい存在感のある陶器で作られたサボテンのモチーフが、柔らかい羽でおおわれているので可愛らしさや優しさを感じさせてくれます。また作品はフィラメントがむき出しになったような、オレンジのタングステン電球から発せられる温かい光で包み込まれています。


陶器は釉薬を塗った作品を窯で焼いて作り出されますが、高温で焼くと窯の中で化学反応が起きて様々な色相いが生まれます。これを「窯変」と言い、作家は焼き上がりの状態をある程度は想定するものの、実際には焼き上がってみないと、最終的にどんなものが生まれるかは分かりません。


寺尾氏はこの「窯変」を作品が窯の中で育っている、まるで植物を育てているようだと表現されます。ここに並べられた“心魂”たちは寺尾氏のメッセージであり、大切に育て上げた子どもでもあるようです。


実際に、焼き上がった本体に羽を飾って仕上げるときは、それぞれと会話しながら、個性に合わせて羽選びをするそうです。そうして時間をかけて個性が引き出された“心魂”たちは、ひとつひとつが人格を持ち、全部で“17名”も並んでいます。


また、その中でアクセントをつけるように獣の頭がモチーフで、角に羽がまかれた“心魂”も4点展示されています。こちらは頭=顔があるだけに、頭の中に様々な表情が浮かんできます。観る人によっては悲しげに見えることもあります。


寺尾氏の個展は、ふだんは植物やグッズなどを販売しているギャラリーAで行われています。“心魂”たちは、もともとあった観葉植物たちとうまく溶け合い、まるで以前からそこにあったような感覚にとらわれます。


観葉植物もそれぞれに個性があり、声をかけながら世話をすると元気に、表情豊かに育ってくれる・・・、そんな“心魂”たちとの意外な共通点を発見し、まさに植物好きが始めた千駄ヶ谷のギャラリーにふさわしい個展にしていただいたと感謝しています。



温かくも、力強い“心魂”たちに出会える寺尾直之氏の個展にぜひ、足をお運びください。

会場は13時から20時まで開いています。作品の温かみや優しさがより引き立つ、夕方以降の時間帯もおすすめです。皆さまのご来場を、心よりお待ちしています。

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