記録的な暑さが続いています。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。お元気でこの夏を過ごされますよう心からお祈り申し上げます。
私どものギャラリーBの小さな庭には大きな水甕(みずがめ)を据えています。なんだか、ここだけはこの酷暑から解き放たれたような涼やかな風情を見せています。中には蓮と睡蓮が植えてあり、その茎の間を縫うようにメダカが元気に泳ぐ姿を見ていると飽きることがありません。
蓮は「泥より出でて、泥に染まらず」といわれるように、池の底の汚れた泥の中から茎を伸ばして花を咲かせます。泥を悪や不浄、煩悩になぞらえたのでしょうか、そうした混沌から美しい姿を見せる様を仏教では極楽浄土に咲くにふさわしいとして仏様が持ったり、台座にかたどられました。何も知らずに蓮を見ていると単に涼やかさや美しさしか目に映らないですが、そうしたことを発想した古(いにしえ)のインドの人々のイマジネーションはすごいなと思います。
本来なら7月から8月にかけて美しい花を咲かせますが、この6月に植えたばかりですので、今年は花を見るのは難しいかもしれません。でも、期待したいと思います。
睡蓮は蓮に似ているように見えますが、分類学的には別々の科だそうです。私どもの水甕の中では、葉の緑が濃く、元気そうに見えます。
睡蓮は皆さまご存じのとおり、印象派の画家クロード・モネが好んで描いたモチーフです。今年はモネが睡蓮を描き始めて約100年になるということで、横浜美術館では「モネ それからの100年」という企画展が開催されています。モネの睡蓮だけでなく、彼の作品から直接インスピレーションを受けた現代の作家の作品も展示されているそうです。9月24日まで開催されているそうなので、折を見て行ってみたいと思います。
植物と宗教やアート、そして暮らしはこんなにもいろんなつながり(=植物縁)があるのか、といつも驚かされます。今年の夏は、どんなうれしい驚きがあるのでしょうか。楽しみにしたいと思います。
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